募集中のワークショップ・シニア劇団のレッスン

ブレイクスルーからのオーディション合格!

先日、上杉祥三の俳優ワークショップがありました。

連続5日間にわたって行われましたが、全日参加はOさんだけ。

あとは1〜4日の間で、ご都合によってのご参加でしたが、

このOさんは昨年の開催時もやはり全日参加で、

その時は全日の方が他に数名いらっしゃったので、

特別な思いは双方抱いていなかったと思うのですが、

今回はお一人、そもそもOさんがその時期が空いているというので、

それに合わせて開催することになったようなものでした。

大抵、ワークショップを行う時は、「ぜひやりたい」という強い気持ちで

先導する人が現れて、それに引っ張られて開催する形になりがちです。

ですから、その人は必然的に「自分が中心」「自分のための」と思うし、

そのくらいの覚悟でいてくれた方がこちらもやりがいがあるのです。

今回はそれがOさんで、彼女自身それを分かっているのかいないのか、

曖昧なまま始まりました。

案の定、人のいい(悪い意味で押し出しの弱い)Oさんは、

誰かが目立っても、それを阻んだり、悔しい風情を見せることもなく、

楽しそうに演技していましたが、2日たった時に、私は

「このままでいいのだろうか?」と思うようになりました。

主催の上杉祥三も、同じように感じながら、

女性の気持ちを図りかねて、踏み込むのを堪えていたようです。

1〜3日参加の方々が、それぞれ楽しく演じて、笑いを誘ったり、

以前よりも伸びたのを褒められたりしているのを横目で見ながら、

Oさんはどう思っているのか…。

とうとう3日目の朝、

私は話をしてみて、必要ならアドバイスすることに決めました。

しかし、「困っていない?」の問いには「困ってはいない」と、

また「楽しい」の問いには「楽しい」と返ってくるので、

要らぬお節介かもと思いながら、思い切って

「台本読みの時、引いてるように見えるけど、なんでかな?」と

聞いてみました。

これは当たったようです。

確かに「実はどうしていいか分からない」とのことでした。

そこで、Oさんは即興演技の際、いつもアイデアが面白く、

金持ちの女性でも、韓国人の母親でも、即座にそれっぽく演じられるのに、

「なぜそれをセリフで発揮できないんだろう?」

と聞いてみました。「違うものだと思ってない?」と。

あれだけ瞬時に実在感たっぷりに演じられるんだから、

「エチュードと台本を繋げてみたら?」と言ったのです。

これは演技を知らない人にはわかりにくい話かもしれません。

演技のツボはそれぞれの役者にそれぞれあって、

どこをどうすると、いわゆる「演じる」気持ちや「その気」になるのかは、

言葉で説明することができません。

だから、私の言うことも伝わらないかも、と思いましたが、

「分かりました」と言って、稽古に入っていかれました。

その日は成果を出すまでには至りませんでしたが、

翌日の最終日の発表で、主役の後半部分を与えられたOさんは、

とうとうブレイクスルーを起こしたのです!!

今まできれいだけれども少々細かった声が、

キャラクターに合わせてどっしりとお腹から発せられ、

テンポもよく、人のセリフも食い気味に、

テンションだけは高くて厳しい(けど面白い)演技コーチの役が、

見事に演じられていました!

すごく楽しく、「もっと見たい」と思わせるような潔さ、

かっこ悪さ(コメディエンヌとしての)も素晴らしく、

「これが彼女の魅力なんだ!」と納得させられたのです。

もちろん、私のアドバイスだけの成果ではなかったかもしれませんが、

とにかく嬉しかったなあ。

稽古終了後、これから夜を徹してのバイトに行くというOさんを引き留めて、

夜の街に繰り出して祝杯をあげてしまいました。

やはり人間、覚悟なんですね。

誰がやらなくても、自分はやる、諦めない、と言う姿勢。

徹夜のバイトをしてでも、ワークショップにかけるという意気込み。

これが今回のブレイクスルーを引き起こしたのだと思います。

ぜひ、さまざまな現場で出していって欲しいと思います。

もっともっと前に出て、殻を破り続けてほしい。

そして、演劇って成長のための素晴らしい「場所」だと、

改めて感じた日でした。

(これを書き上げた瞬間、彼女からメッセージが入ってきて、

ワークショップ翌日に受けたオーディションに合格したと!!

ついでに寝なくても大丈夫な体質なのだと 笑)

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